1型糖尿病の種類について
- 2022年3月3日
- 診療内容
1型糖尿病は病気が進んでいくとインスリンがほとんど作れない状態となり、生きるために注射でインスリンを補う治療が必須となります(このような状態をインスリン依存状態と言います)。
1型糖尿病はさらにこのインスリン依存状態になるまでのスピードによって、「劇症」「急性発症」「緩徐進行」に分類されます。
➀劇症1型糖尿病
わずか数日間のうちにインスリンが作れなくなってしまう、最も急激に進行するタイプです。すぐにインスリン治療が開始されなければ、命に関わる非常に危険な状態になります。
発見された時点で血糖値はすでに非常に高いことがほとんどですが、発症が急激であるので、1~2か月の血糖値の平均をみる指標であるHbA1cはさほど高くないことも特徴です。
劇症1型糖尿病では自己抗体が認められないことが多いです。
➁急性発症1糖尿病
1型糖尿病で最も頻度の高い典型的なタイプで、糖尿病の症状が出はじめてから数か月でインスリン依存状態になります。インスリン治療を始めた後に、残存していたすい臓の機能が一時的に回復し、インスリン治療がいらないようにみえる時期(ハネムーン期)がある患者さんもいますが、この効果は続いても数か月程度であり、その後は再びインスリン治療が必要となります。血液検査で自己抗体を認めることが多いです。
➂緩徐進行(かんじょしんこう)1型糖尿病
年単位でゆっくりとインスリン分泌が低下していくタイプです。初めは2型糖尿病のようにインスリン注射を使わなくても血糖値をコントロールすることが可能ですが、血液検査で自己抗体を検査したところ陽性であり、実は緩徐進行1型糖尿病だった、というようなケースがしばしばあります。
緩徐進行1型糖尿病の場合、もしインスリンを作る力がそれなりに残っていたとしても、すい臓に負担をかけるような内服薬は推奨されず、それ以外の内服薬を選択したり、場合によってはインスリン治療を早い段階から行い、すい臓を保護することが望ましいといわれています。