糖尿病の診断について
- 2022年3月3日
- お知らせ
糖尿病を診断するための検査
➀血糖値
採血の様子
皆様も、健康診断で血糖値を測定されているのではないかと思いますが、これは糖尿病の可能性がないかを確認するための検査項目です。糖尿病は特に初期の頃は自覚症状がほとんどないため、検査なしに見つけることは非常に困難なのです。しかし1回の血糖値の測定だけでは、糖尿病と診断することはできません。例えば食事をした後、糖質はブドウ糖となって小腸で吸収され、血液中に移動し、血糖値が上昇します。一方、例えば運動を行った場合には筋肉の血流量が増え、血糖が筋肉にどんどん取り込まれることから血糖値は低下します。
血糖値は測定のタイミングによって、大きく以下のように呼ばれます。
空腹時血糖 正確には最後の食事から10時間以上経った状態で測定をした血糖値のことですが、一般的には検査当日に朝食を抜いた状態で測定したものを指します。
随時血糖 食事とは無関係に測定した血糖値のこと。
健康診断では、朝食前の空腹時血糖で検査を行うことが一般的です。しかし糖尿病の初期段階では空腹時血糖は通常通りでも、食後に急激な血糖上昇(「血糖値スパイク」といいます)が見られるケースが多くあるため、見逃される可能性があることに注意が必要です。
➁HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
糖尿病の診断においてもう一つ重要な指標に、HbA1cがあります。詳しくはこちらで解説をしていますが、概ね過去1~2か月の血糖レベルの平均が分かる検査項目です。HbA1cも血糖値と同様、採血によって測定します。
➂75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)
空腹時や随時の血糖値の測定だけでは診断が難しい場合は、75gOGTTという検査を行って糖尿病の可能性がないかを確認することもあります。
この検査では、まず空腹時に75gのブドウ糖を含んだ微炭酸水を飲み、以降30分後・1時間後・2時間後(場合によっては3時間後も)に測定します。
糖尿病の疑いが濃厚な場合(糖尿病型)
空腹時血糖が126mg/dL以上
75gOGTT2時間値が200mg/dL以上
随時血糖が200mg/dL以上
HbA1cが6.5%以上
初回検査で上記のいずれかが確認された場合は「糖尿病型」と判定され、別日に再検査を行います。再検査でも異常があった場合、「糖尿病」と確定診断されます。
ただし初回検査で血糖値とHbA1c値がともに糖尿病型だった場合には、その時点で糖尿病と診断されます。
当院では、血糖値、HbA1cを約5分で測定できる機器を備えております。またブドウ糖負荷試験も行える体制を整えております