高血圧の治療
- 2022年3月7日
- 診療内容
高血圧の治療は、薬物療法、食事療法と運動療法が基本になります。
➀薬物療法
高血圧の治療に使用される薬剤は降圧薬と呼ばれています。降圧薬にはいろいろな種類があり、治療は患者さん一人ひとりに適した方法で行う必要があります。
医師は降圧薬の選択に際し、以下のようなことを考慮しています。
1.高血圧の重症度
2.糖尿病の有無
3.薬剤毎に異なる副作用の可能性
4.薬剤の価格
血圧は適正な状態を維持することが望ましく、通常、降圧薬はしっかり服用を続けていただく必要があります。
また季節によっては用量や種類の増減が必要となる場合もあります。
ほとんどの患者さんは、決められた量を守って服用していれば問題なく治療を続けられますが、稀に副作用が生じる方もいます。もし副作用かなと思う症状があった場合、すぐに医師に相談してください。
当院では、検査や診察を通して患者さんに合った降圧薬を見定め、処方いたします。健康診断で血圧が高いと指摘された方や以前から血圧が気になっていた方も、どうぞお気軽にご相談ください。
➁食事療法
1.食塩の摂取量を減らす
食塩の摂り過ぎは、血圧を上げる大きな要因です。献立・調理法・食品の選び方を工夫し、減塩を心がけましょう。加工食品に含まれる食塩も合わせて1日6g未満を目標とします。
2.適正体重を維持する
肥満は血圧の上昇に影響します。菓子やジュースなどの糖分や、揚げ物・調理油などの油脂の摂り過ぎによるエネルギーの過剰摂取に注意して、適正体重を維持しましょう。
標準体重の計算式
標準体重(kg) = 身長( )m × 身長( )m × 22
※例えば、160センチの方は1.6メートルに換算します。
また、早食いはエネルギーの摂り過ぎにつながります。よく噛んでゆっくり食べるよう心がけるようにしましょう
3.栄養バランスを考える
毎食「主食・主菜・副菜」をそろえます。主食としては、ご飯やパンを摂取し、エネルギーを保ちます。主菜は魚、大豆製品、肉などを摂取し、からだをつくるもととします。副菜は、野菜類やきのこ、海藻類を摂取し、ビタミンやミネラルをとります。これらを上手く組み合わせた献立を考えましょう。
4.動物性脂肪を控える
動物性脂肪(バター・肉の脂身など)は、血液中のコレステロールを増やし、植物性脂肪や魚油(イワシ、さんま)などには減らす働きがあります。動脈硬化を予防するために、肉だけに偏らず魚や豆腐もとり入れるようにしましょう。
これらは脂質異常症の治療でも、同様のことを行います。
5.アルコールを控える
ビール
飲酒習慣は血圧上昇の原因となります。お酒は控えめにしましょう。1日当たりの飲酒量の目安としては、エタノールで男性20~30mL(おおよそ日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合弱、ウイスキー・ブランデーダブル1杯、ワイン2杯弱に相当)以下、女性はその約半分の10~20ml以下とするようにしましょう。
➂運動療法
運動をすると、一時的に血圧は上がりますが、運動後はむしろ下がります。また、高血圧の患者さんは脂質異常症、糖尿病、肥満などを合併されている方が多いのですが、これらは体内のインスリンというホルモンの働きが悪くなって起こる病気です。
運動はインスリンの働きを改善する作用もあり、高血圧を含む「生活習慣病」すべてに非常に重要な治療法と考えられています。
ただし、重症の高血圧の方、労作性狭心症や心不全、腎不全、重症の眼底網膜病変などを合併している方は運動に注意が必要です。運動をはじめるにあたっては、医師と相談してください。
運動は週に3回以上行うのが理想的です。