悪性腫瘍
- 2022年3月3日
- 診療内容
甲状腺の悪性腫瘍には、5種類のがんと悪性リンパ腫があります。5種類のがんと悪性リンパ腫について説明します。
1.乳頭がん
甲状腺がんの9割を占めるがんです。非常に進行が遅くおとなしいがんです。このがんは、早い時期にはただしこりがあるだけで、遠くの臓器に転移することは多くなく、進行もきわめてゆっくりしています。比較的早い時期から甲状腺周囲のリンパ節に転移することは少なくないため、くびの側面にあるリンパ節が腫れて気づく人もいます。リンパ節に転移しても、そこでの成長がゆっくりしているのでこの時点治療しても治ることが多いのが特徴です。乳頭がんの20年生存率は、90%を超えており、極めて良く治るがんといっていいと思います。
2.濾胞がん
甲状腺がんの5%ほどを占めています。乳頭がんと同じように、しこりがあるだけでほかには異常がない場合がほとんどです。しかし、このがんは確定診断をすることは難しく、通常は経過観察して、腫瘍の大きさが4cm以上になると手術して判明することが多いのが現状です。またこのがんはリンパ節転移が少ないものの、遠隔転移(肺や骨など)することがあります。ただ進行が遅く、早期に治療すれば乳頭がんの次に治る率がかなり高いがんです。
3.髄様がん
甲状腺がんの約1-2%を占める特殊ががんです。カルシトニンやCEAといった血液検査である腫瘍マーカーが陽性になるため、血液検査で判明することが特徴です。また3分の1は遺伝性に発症するなど、副腎の褐色細胞腫や副甲状腺機能亢進症などほかの内分泌の病気を合併することがあり、多発性内分泌腺腫瘍症(MEN)と呼ばれています。
4.低分化がん
乳頭がんや濾胞がんのなかで、組織学的に低分化成分が含まれているがんは、低分化がんと呼ばれています。通常の乳頭がんや濾胞がんと比較して悪性度が少し高く、進行がやや早いため適切な治療が必要になります。
5.未分化がん
未分化がんは、非常に未熟な細胞であるため、発育が急速で悪性度が高く、高齢者も多いがんです。